文/おいかわ しほ

淡い桜色や、陽に透けるサーモンピンク。グラスに注いだ瞬間から、食卓を明るく涼やかに見せてくれるロゼワインは、フランスの夏に欠かせない存在です。
南フランスでは、日が長い夏の夕暮れに、よく冷えたロゼワインと軽い料理を囲んで「アペロ」を楽しむ光景が見られます。特別な日だけではなく、家族や友人と会話を交わし、一日の終わりをゆっくり楽しむための一杯です。
今回は、ロゼワインの色の秘密や冷やして楽しむ理由、夏のアペロや料理との合わせ方をご紹介します。
「ロゼ」はフランス語で“バラ色”

ロゼ(rosé)とは、フランス語で「バラ色の」という意味です。
ロゼワインと聞くと、赤ワインと白ワインを混ぜて造るように思われることがありますが、多くのロゼワインは、赤ワインと同じ黒ブドウを原料にしています。
ブドウの果汁そのものは、多くの場合ほぼ透明です。赤ワインの色は、果汁を果皮と一緒に漬け込むことで生まれます。ロゼワインでは、その時間を赤ワインより短くしたり、黒ブドウをやさしく搾ったりすることで、果皮から淡い色だけを引き出します。
つまり、ロゼワインの美しい色は、果汁と果皮が触れ合う時間や、ブドウの品種、造り方によって生まれるものなのです。
淡いピンクから鮮やかな赤まで。色の違いはどこから?
ロゼワインの色は一種類ではありません。
ごく淡いピンク、オレンジを帯びたサーモンピンク、イチゴやサクランボを思わせる鮮やかな色まで、さまざまです。
色の違いには、使われるブドウ品種や果皮の厚さ、果汁と果皮を触れ合わせる時間、醸造方法などが関係しています。一般に、果皮と接する時間が長くなるほど色は濃くなります。
ただし、色が淡いから必ず辛口、濃いから甘口というわけではありません。見た目だけでは、甘さや味わいの強さを判断できないのも、ロゼワインの奥深いところです。
南フランスのプロヴァンスでは、淡く透明感のある色合いの辛口ロゼが多く造られています。一方、フランス南部のタヴェルなどには、色が濃く、果実味や飲み応えのあるタイプもあります。
その日の料理や気分に合わせて色合いを選ぶことも、ロゼワインの楽しみ方の一つです。
なぜロゼワインは冷やして飲むのか?

ロゼワインは、冷やすことで酸味が心地よく感じられ、果実味のある爽やかな印象が引き立ちます。なので、夏の暑い日にも、すっきりと飲みやすくなります。
プロヴァンスのロゼワインは、一般的に8~10度ほどが一つの目安です。飲む2~3時間前に冷蔵庫へ入れておくと、ほどよく冷えた状態になります。氷を使う場合は、氷だけでなく水も入れたワインクーラーにボトルを浸すと、全体を冷やしやすくなります。
ただし、冷やしすぎると香りや味わいが感じにくくなることがあるので注意。冷蔵庫から出した直後に香りが閉じているように感じたら、グラスに注いで少し待ってみましょう。温度がゆっくり上がるにつれて、果実や花の香りが広がってきます。
軽やかなタイプはしっかり冷やし、味わいに厚みのあるタイプは少し高めの温度で楽しむなど、ロゼの個性に合わせて調整するのがおすすめです。
夏のアペロには、気軽な一皿を
フランス語の「アペロ」は、食前酒を意味する「アペリティフ」を親しみやすく略した言葉です。飲み物だけでなく、夕食前に軽い料理を囲みながら過ごす時間そのものを表すこともあります。
夏の夕暮れにロゼワインを用意したら、オリーブやナッツ、チーズ、シャルキュトリ、リエット、野菜のマリネなどを少しずつ並べてみましょう。
軽やかな辛口ロゼには、魚介やサラダ、野菜料理がよく合います。エビや貝、白身魚のマリネ、トマトを使ったサラダなどを合わせると、爽やかな味わいが引き立ちます。
果実味のあるロゼには、塩気のあるハムやソーセージ、パテなどのシャルキュトリを。
少し色が濃く、しっかりした味わいのロゼなら、グリルした肉や魚、スパイスを使った料理にも寄り添います。爽やかな酸味が脂の余韻を軽やかにし、次のひと口を誘ってくれます。
南フランスらしい組み合わせを楽しむなら、トマト、ナス、ズッキーニ、パプリカなどを使ったラタトゥイユや、オリーブ、アンチョビ、ハーブの香る料理もおすすめです。
ア・ターブル!で始める、夏のロゼ時間

夏のアペロには、よく冷やしたロゼワインと、気軽につまめるフレンチ惣菜を用意してみてはいかがでしょうか。
ア・ターブル!では、果実味豊かな「サン・セル バティスト&レオン ロゼ」をはじめ、フローラルな味わいの「クロ・ド・ラマンデ シャ・ピットル・ロゼ」、クランベリーや赤果実の繊細味を味わえる「シャトー・ラ・クロワ・デ・パン ヴァントゥ ロゼ 2023」をご用意しています。
色合いや香り、味わいの違いを比べながら、その日の料理に合う一本を選ぶのも楽しみのひとつです。
バゲットにたっぷり塗って味わう「自家製ポークリエット」には、爽やかなロゼワインを。「リヨンソーセージ(ピスタチオ入り)」など、旨味のしっかりしたシャルキュトリにも、ロゼの軽やかな酸味が心地よく寄り添います。
さらに、タマネギの甘みとアンチョビ、黒オリーブの塩気を楽しめる「タルト・ソレイユ ピサラディエール風」を添えれば、南フランスを思わせる食卓に。
すべてを手作りしなくても、お気に入りの料理を皿に並べ、冷えたロゼワインをグラスに注ぐだけで、いつもの夕暮れが少し特別な時間に変わります。
ア・ターブル!のロゼワイン
ロゼワインに合わせたい一皿
Writer
おいかわ しほ
フリーライター。食や暮らし、ライフスタイルをテーマに、Webメディアや企業オウンドメディアなどで執筆。日々の食卓に寄り添う視点を大切に、食文化や暮らしの魅力を伝えている。