アウトドアや自宅でのDIYも大人気!燻製の世界

世界各地に古くから存在する伝統的な食材加工法「燻製」。燻製特有の風味を楽しむ調理法の一つとして進化しています。また手軽な燻製キットも市販されるようになり、キャンプはもちろん、自宅でも「アウトドアグルメ」としてレジャー感覚で自家製を楽しむ人が増えています。今回は、知ればもっとおいしく楽しめる燻製についてご紹介します。

燻製とは?

「燻製」とは、主に肉や魚など、塩漬けにした食材を煙でいぶす加工法です。塩漬けの段階で、食塩水に香味野菜やスパイスで風味を付けた漬け込み液を利用することで風味を付けて水分を抜き、乾燥させた後、燻煙にさらします。煙に含まれる殺菌・抗菌成分が食材に浸透し、長時間燻煙にさらすことで食材の水分が減少し、保存性が高まるというメカニズムです。使用する木材によって香りもさまざまです。

日本ではかつお節や秋田のいぶりがっこが伝統的な燻製食品として知られますが、高温多湿の日本では、2,000種類ほどもあると言われる発酵食品が保存食の主体で、かつお節といぶりがっこも発酵の過程を経るものです。水産物の燻製は長く「珍味土産」「酒の肴」で、日常食として根付いてきた燻製食品は多くありません。

一方、フランスでは、ベーコンやハム、ソーセージといった多くのシャルキュトリに燻製タイプがあり、日常に定着してきました。古くからある伝統的な燻製法は、美味の探求とともに進化を遂げ、チーズや卵、ナッツ、豆腐などさまざまな食材に燻製が施され、用いる木材や食材との組み合わせや燻製法によって、多彩な風味が追求されています。

北ヨーロッパで進化した燻製技術

燻製の歴史は、古代にさかのぼります。ほら穴住居などで焚火をしていた頃、吊していた肉や魚が焚火の煙で乾燥し、いぶされると、長い時間が経っても食べることができ、味も良くなることに気づいたことから燻製の製法が生まれたと考えられています。フランスには、燻室の一区画を表す「forneau」という言葉があり、それが「煙突」を意味する「tuyau de forneau」から来ていることから、かつては煙突の周辺に魚や動物の肉を吊り下げ、乾燥させていたことが原型と推察されています。

もともとやせた土地だった北ヨーロッパでは、食肉の確保と保存は死活問題。有史以前から、寒暖に強く、繁殖力が旺盛で、粗食で成長が早い豚の飼育が盛んでした。紀元前後の頃、ローマの町にいたガリア(古いフランスの呼称)の人々の主な商売は、ハムや塩漬け肉の販売だったと言われています。ガリアの地では、食糧が乏しくなる厳しい冬を越すために肉の保存技術が不可欠でした。冬を越した塩漬け肉は、気温が高くなるにつれ嫌な臭いを発するようになるため、殺菌・抗菌作用をもたらす燻製は重要な技術でした。初期の燻製は煙臭く食べにくいものでしたが、おいしく食べられるよう少しずつ進化。ヨーロッパで産業的に燻製食品が製造されるようになったのは12世紀初頭と言われています。漁業の発展もあり、燻製業の規模は大きくなっていきました。

燻製の歴史は、古代にさかのぼります。ほら穴住居などで焚火をしていた頃、吊していた肉や魚が焚火の煙で乾燥し、いぶされると、長い時間が経っても食べることができ、味も良くなることに気づいたことから燻製の製法が生まれたと考えられています。フランスには、燻室の一区画を表す「forneau」という言葉があり、それが「煙突」を意味する「tuyau de forneau」から来ていることから、かつては煙突の周辺に魚や動物の肉を吊り下げ、乾燥させていたことが原型と推察されています。

3つの燻製タイプ

燻製は、温度によって「冷燻」「温燻」「熱燻」の3種類の製法に分けられます。

冷燻

20℃前後の低温で燻煙にさらし、長い時間をかけて熟成させます。代表的な冷燻食品である生ハムは、伝統製法では冬期に高原や山間といった低温低湿の土地で半年かけてつくられます。ほかには、生ベーコンやスモークサーモンがあり、チーズ、豆腐、たくあん、カキホタテ、アサリ、イカ、タコなども冷燻が適しています。生の食感を楽しめるのが魅力ですが、手間暇が掛かるため、3つの燻製方法の中では最も難易度が高い製法と言えます。

温燻

オガクズなどを利用し、60~80℃で乾かしながら煙をかける燻製の王道スタイル。細菌はだいたい60℃以上で死滅しますが、タンパク質は80~85℃を超えると変質するため、殺菌しながら美味しさを保つには、この温度帯で2時間ほど熱をかけることが望ましいとされています。温燻の食品には、スモークベーコン、スペアリブ、ローストチキン、ローストビーフなどがあります。

熱燻

一般的なチップ(ガス、炭など)を使い、80~100℃で1~2時間、焼きながら煙でいぶします。保存目的というよりは、燻製の風味を手軽に楽しむ加熱調理です。

燻製に使うチップで、食材を選ばない最もメジャーなものはヒッコリーです。日本では、クセのある素材の燻製に適している香りが強いサクラや、色づきがよく魚介類全般に適しているブナが人気です。ほかには、クセがほとんどなく、スモークチーズやスモークサーモン、淡泊な白身魚などに適しているクルミ、クセのないスッキリした繊細な香りで魚介類に適しているブナなど、それぞれ特徴があります。食材との相性や好みに応じて、いろいろと試してみるのも一興ですね。

A TABLE!の極上スモーク

スモークサーモンづくりから始まった富士物産が運営するA TABLE!では、40年以上かけて培ってきた最高峰の燻製技術によるスモーク商品をラインアップしています。食材の風味と調和する繊細な香り、フレッシュな食感、熟成による濃厚なうまみは、今までにない極上の燻製体験となることでしょう。上質な白ワインを合わせたくなるA TABLE!自信の一品をぜひ一度試してみてください。

A TABLE!の燻製<関連商品>

(参考)
「王様の燻製」鈴木雅己著(コスモヒルズ)
「スモーク食品」太田静 高坂和久 グゥエン・ヴァン・チュエン共著(恒星社厚生閣)